NRK活動報告書

更新は年に数回

Nのために

年明けちゃったけどこれは書いておきたい。


ドラマ「Nのために」間違いなくここ数年で最高のドラマだった。


Nのために

Nのために


これな。
原作読んだのが3年くらい前かな?一気に読んでめっちゃ面白くて、これ映画化すればいいのになぁ。でもこれ映像にするの難しそうだなぁ。などと思ってたわけだが。
ドラマ化するって聞いたときから期待してて、奈央子さん役が小西真奈美と聞いて、ハマリ役すぎるwwwと盛り上がったものだ。
そのあと窪田正孝が出ると聞いて絶対観ようと思った。
原作も面白いしキャスト陣も期待が大きかっただけに、蓋を開けたらガッカリイリュージョンなんてことになるんじゃないかと警戒してたけど、杞憂だった。


とにかく脚本が良かった。原作の湊かなえさんもすごいけど、脚本書いた奥寺佐渡子さんがすごいと思う。
原作が一人称の独白がほとんどだからどう映像化するんだろうと思ってたけど、足りない所を補いつつも余計な脚色にはならない絶妙な脚本。オリジナルキャラクターの高野さんという語り部的存在を違和感なく織り込みつつ原作の粗いところを埋めるようなよくできた脚本で素晴らしいドラマだった。
湊かなえの原作は「事件」は書けてるけど「人間」が描けてないというか、事件の謎解きが第一で、それに絡んでくるはずの人物のドラマが割と雑で、何でこの4人が罪の共有するの?って感じが否めなかったんだけど、ドラマ版ではやや冗長なくらいそれぞれの関係性を描くことに時間を割いてたので、事件の日の出来事は必然のものだったんだと感じられた。
原作では「ハイこれで終了!以上!」って感じできわめて適当にブン投げて終わらされてた10年後の結末も大幅に変更されて丁寧に描かれてたし、ドラマ版の結末の方が全員が救われる終わり方で良かった。原作もうちょっと頑張れや。
原作で「テキトーだなオイ!」って突っ込みたくなったところ(理由もなくさざなみが燃えたり都合よくお母さんが再婚したり唐突に謎の病気になったり)がちゃんと必然性を持って物語に関わってきたので満足。
あと物語で一番重要なポイントのはずなのに原作で本当に意味がわからなかった、事件の日に「安藤がなぜ部屋のチェーンをかけたのか」「成瀬がどうして鍵がかかってなかったと嘘をついたのか」その理由がちゃんと描かれていた。ところであの事件のとき安藤だけ誰のためにも動いてないよね…


各キャラクターの人物像も原作とちょっとずつ違ってたな。
杉下は原作ではもうちょっとドライというか冷酷だったのが弱さや孤独感を周りに見せられる子になってたし、安藤は何かというと他人を見下す嫌な感じの奴だったのが少し丸くなってたし。西崎さんはあまり変わってないけど、演じている小出恵介が見せる表情によって過去に背負った罪やトラウマや優しさや人間臭さがにじみ出ていて、好感が持てるキャラクターになっていた。
あと一番変わってたのは成瀬君。
原作では一人で勝手に勘違いして盛り上がってるだけのちょっとイタいキャラで、杉下にいいように利用されただけというか、杉下も成瀬君のこと本当に助けてくれた恩人だと思ってるの?って感じだったんだけど、高校時代編に3話も使ってこれでもかというくらいに成瀬君と杉下の交流を描いたおかげで2人の関係性が強固なものになったし、成瀬君は5倍くらいイケメンになってた。
原作では主要メンバー4人の中で一番影が薄かった成瀬君がまさかあそこまで重要ポジションになるとは。原作では安杉推しだったけどドラマでは成杉エンドでしたね。
ぶっちゃけ窪田正孝が成瀬君役だって聞いたとき、成瀬君役なんかに窪田正孝使うなんてもったいないと思ったんだけど(失礼)、ハマリ役だった。他の人じゃあの成瀬君はできなかったと思う。


俳優陣の演技もどれをとっても素晴らしかった。
窪田正孝は「平清盛」で知ったときから注目してたけど、他の若手たちも全員が同じくらい上手いからバランスが良かった。
ベテラン組も言わずもがな。夏恵さん役の原日出子の、一言もしゃべらずに全部表情と仕草だけで心情が伝わる演技がめちゃめちゃすごかった。最終話の慟哭するシーンなんか鳥肌立った。
あとお母さん役の山本未来の、前半のキチガイっぷりと最終話の更生(?)した姿の対比が良かった。雰囲気から変わってたもんね。
変にゴキゲン取りでジャニーズだのAKBだの使わなかったのが良かったね。


演出も、過去編と比べて現代編で画面の明度と彩度を落として登場人物達が背負った過去を感じさせるようになっていたり、主題歌を毎回効果的に入れてきたり、適切なシーンで適切にスローモーションを挟んだり。おい聞いてるか大河スタッフ。
キャスト・脚本・演出の全てが揃った最高の作品でした。録画してまでドラマ観たのなんて何年ぶりだろう。
DVDボックス欲しい。