面白かった映画
書こう書こうと思って書いてないレビューをば。医療系2本立て。
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「私の中のあなた」
国試勉強中に映画館まで行って観てとても印象に残った作品。「おすすめの映画は?」って聞かれたら大抵これを挙げるってぐらいおすすめ。
白血病の姉・ケイトに腎臓を移植することを母親・サラに迫られた妹・アナが、ドナーとなることを拒否して弁護士を雇い、母親を訴えるところから始まる物語。
実はアナは、ケイトのドナーとなるために産まれた存在で…という設定。
(以下、当時書いたノートより抜粋。)
急性骨髄性白血病(M3)とか骨髄移植とか、私ホイホイな話題がてんこ盛り。
生体移植をめぐる家族間の諍い、命の序列、QOL、治療の自己決定権、子供の権利など考えさせられるテーマがふんだんに盛り込まれていて医療系の立場である私にはかなり興味深い内容。
主人公の、姉を思いやる気持ちの強さに感動。まさかのどんでん返しには驚嘆した。
原作があるせいか、若干時系列がわかりづらいことが気にはなったが。
この映画をただの「泣ける映画」として見るか、「考えさせれられる映画」として見るかはその人の立場によって違うと思う。
私は「死んで泣いて終わり」じゃない作品だと思った。
(抜粋終わり)
これは本当に人によって感想が変わる映画だと思う。
私はサラの身勝手さに嫌悪感を隠せなかったが、わが子を助けたいという必死さはビシビシ伝わってきた。(怖かったけど)
でもこのお母さん、結局はケイトのためというよりは自分のために頑張ってるように映ったが。必死すぎて周りが見えていないというか。
裁判のシーンで、判事の質問に対してアナを目の前にして「ケイトの命の方が大事」と言い切ったシーンは「そりゃねーよ…」って思いましたね。
母親はこんなだけど、姉妹は本当に仲が良くてお互いのことを思っていてそこに泣ける。
あと、いまいち存在が薄いけど兄のジェシーがね。最初から全部知っていて、それでも最後まで何も言わずに2人のことをずっと見守ってくれていて。クライマックスの裁判ですべてが明らかになるシーンがこのお兄ちゃんの最大の見せ場。
もう一人主要な登場人物として気になったのが、(おそらく)一緒に暮らしているサラの妹のケリーおばさん。
ケイトの世話で手いっぱいのサラに代わって家事をやってくれていて、サラのこともケイトのこともアナのこともずっと見てきた人。
アナに対するサラのことを、同じ「妹」の立場として、どんな気持ちで見てたのかな。
この話、原作は結末が違っているらしいので機会があったらそちらも読んでみたい。
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ディア・ドクター
山間の過疎の村で、たった一人の医師・伊野がある日突然失踪する。
実はその医師には誰にも言えない秘密があって…という話。
アレですよね、「医師が失踪」で「秘密」って言ったら十中八九モグリですよね(盛大なネタバレ)
まあそこはメインではないんでどうだっていいんだが(良くないが)。
無免許だけど患者思いの田舎の医者・伊野と、彼の下で働くうちに医者とは何かと考え始める都会育ちの研修医・相馬。と書くとどうにも陳腐でありがちな物語に聞こえるが、実際ありがちな話。
特にこれといって大きな驚きがあるわけでもないが、これも考えさせられる作品。
失踪のきっかけになったのは村のおばあさん・鳥飼かづ子の胃癌の告知をめぐっていろいろあったからなんだが、この時の伊野の判断は個人的にはどうだろうと思った。
患者の気持ちを尊重してくれて、患者本人にとってはそれで良かったかもしれないけど、果たして家族(娘・りつ子)の気持ちは尊重してくれていただろうか。
この映画のキャッチフレーズは「その嘘は、罪ですか。」なんだが、そりゃアンタ罪でしょうと思いましたね。
これについてもたぶん意見が分かれるでしょうが。
ただ、全体を通してみればこの先生は医師の鑑だと思う。
1400人の村人の医療を一手に引き受けて、村中往診して回って、さらには村の年寄りの名前やら家族構成やら緊急連絡先までリスト作って把握してなんて生半可な気持ちじゃできない。
モグリといっても本棚いっぱいに高価な専門書持ってて独学ながらちゃんと勉強してるし。
きっと伊野は本当に医者になりたかったんだろうな。
もちろん免許なく医療行為を行うのは犯罪行為だし、専門的な勉強をせず独学でやってきただけの人間がどこまで正しい知識があるのかは怪しいところだけども。でも夜間の救急なんか専門外の先生とか研修医が当直回してるからレベルとしてはあまり変わらない気がするんだよね…
ぶっちゃけ医師免許持ってても心電図読めない医者だっているし…(小声
物語は診療所が閉鎖したところで終わり、研修医の相馬は研修期間を終えて都会の病院に戻るわけだが、願わくは彼がこの事件で失望することなく僻地医療の道へと進んでほしいものですね。