NRK活動報告書

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役立つ宇宙をこの手に降らせ今こそ

平沢進師匠のソロデビューアルバム「時空の水」を購入。


時空の水

時空の水


初期ヒラサワはあんまり聴いたことなかったけど、なかなか名盤だった。
1曲目の「ハルディン・ホテル」でもうやられましたね。買って1週間くらいずっと頭の中流れてましたね。
これな↓



さてこの曲名の「ハルディン・ホテル」ですが、調べたところペルーのトルヒーヨという都市にかつて実在した建物で、精神異常者を収容する施設だったそうで。
俄然興味が出てきたので他の歌詞の意味も調べてみた。
と、いうわけで。


【個人的解釈】ハルディン・ホテル
まずキーワード。
・アイリス
花言葉は「消息」「伝言」など。花季は初夏。主に北半球に分布するが、世界中の温帯に生息しているそう。
・オド
オド理論。ライヘンバッハ男爵が提唱した理論で、生命に生じる磁気がさまざまな物理現象を引き起こすとかなんとか。(「気」みたいなもん?)
・ペンデュラム
ダウジングで使うペンダントみたいなやつ。
・ヤギ
キリスト教では悪魔の象徴として扱われることが多い。もともと異教徒の神で山羊を象ったものが多かったため、異教徒→邪悪なものみたいな流れらしい。(「異端」のイメージ?)


「トルヒーヨのハルディン」へ行きませんか、と言っているので場所のイメージとしてはやっぱりペルーとか南米のあのあたりなんじゃないかという推測のもと話を進める。


個人的に1番と3番は「僕」、2番は「キミ」視点なんじゃないかと思う。



行く列車の塵は砂丘に文字を描く
”百年彼方の空より見守る”と
アイリスが咲く長い雨の夜
祈るようにキミをさがして街を駆けた


1番では、姿を消してしまったキミからの「伝言」を受けて「消息」を探す。
”百年彼方の空より見守る”という不吉な言葉に祈るような気持ちでキミを探している僕。


雲が消す星にオドの火は語る
ペンデュラム空にかざしキミは安らげよ
影は目覚めて淵への道を指す
役立つ宇宙をこの手に降らせ今こそ


2番はなんだか「キミ」が居場所を探しているように聴こえる。
いつも居づらさを抱えて、自分が安らげる場所、自分を受け入れてくれる場所を探しているうちに、フッと何かに引き寄せられて淵を覗き込んでしまった「キミ」。
何となく、「キミ」が自ら命を絶ってしまったのではないか、という気がする。


雪解けの裾でヤギは空を仰ぐ
眠り めざめ 思い出せば話そう
アイリスが咲く長い雨の夜
祈るようにキミをさがして駆けてたこと


2番と3番の間奏でメロディが途切れて空白になる部分があるんだけど、そこが時間の経過を表しているように聴こえる。
アイリスの季節は初夏。南半球だったら11〜12月くらいかな?
ペルーあたりではこの時期は雨季にあたるそうなので「アイリスが咲く長い雨の夜」というのはこの頃のことでしょう。
「雪解け」は9月頃からみたいなので、およそ1年近く経過してるのかな、と。
「眠り めざめ 思い出せば話そう」のくだりも、日々が過ぎていったような印象を受けるし。
今はもういなくなってしまった「キミ」に語りかけている僕。
この「ヤギ」は僕のことかな。異端の存在。


総括すると、世の中とうまく折り合いをつけていくことが出来ずにこの世を離れてしまった大切な友人に、「僕もキミもこの世界では異端かもしれないけれど、それでも構わないじゃないか。一緒に行こう」と伝えたかった、そんな物語を想像した。


サビで繰り返される「トルヒーヨのハルディンまで一緒に行きませんか?」の問いかけが優しげで、とてもそんな気がする。
ちょっと悲しいけど、元気が出る、そんな歌だという解釈。


まあこれはあくまで私の勝手な解釈だから、師匠からしたら「全然違う、馬鹿者」となるかもしれんけど。
いずれにせよ名曲ですよ、ハルディン・ホテル。