NRK活動報告書

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タケシとコズエ「ウは宇宙の梅ゼリー」感想

昨日で全17公演終了。2ヵ月間お疲れさまでした。
まさか2回も見に行くとは思わなかった。リピーター特典とか公開されたときも「そんなものに釣られクマー」とか思ったけど実際見に行ったら特典関係なくもう一回見に行きたくなった。
一回のチケット代もかなりリーズナブルだったから行きやすかったってのもあるな。むしろ東京に行くまでの電車代が…往復1万2千円が…


私が見に行ったのは
・11月6日 下北沢「FREE FACTORY」(初演)
・12月4日 六本木「OZcafe」
の2公演でした。
全公演終了したことだし、ネタバレ解禁ということで感想をば。
…再演したりしないかな。大丈夫かな。



















茶店芝居っていうから客としての2人の会話劇かと思ってたら、小柳こずえさん扮する店員と前田剛さん扮する客の劇だった。
開場したときからこずえさんがナチュラルに給仕したり客の案内したりしてて、そこにまえたけさんが入ってきたから、いつの間にか劇が始まった感じだった。店に入った時から劇の世界に取り込まれているような。喫茶店ならではの演出。


話の内容は近未来SF。
未来からやって来たらしいどう見てもおかしな客「キャプテンサンシャイン」と、全くそれを信じない店員「日向満月」の会話。
延々とループしつつ少しづつジリジリと展開していく物語。小出しに明るみになっていく真実。実にもどかしい。
キャプテンサンシャインが未来からやって来たと思わせておいて、実は店内が2510年の宇宙船の中に作られたホログラムで(我々観客も全部ホログラムという設定)満月の方が作られた人格だったというどんでん返しは昔のSF映画でありそうな手法だけど、完全にやられた。
世界をくるっとひっくり返されたような、いい意味で観客を裏切る展開でかなり秀逸。bricが好きそうだなこういうの。


全体的にコメディタッチだったけど、結末はかなり絶望的だった。
たった一人でコールドスリープを繰り返しながらひたすら宇宙を旅し続けるキャプテンサンシャイン。話し相手は犬型ロボット(チワワ型)の「ルナ」のみ。
満月(本当はルナにインプットされた、ホログラム上の作られた人格)に向かって「ホログラムがあるから寂しくない」「お前が出会えないような相手にもたくさん会ってきた」と話すキャプテンサンシャインの表情が寂しすぎる。
ラストシーンで、「ルナ(満月)」がフリーズしてホログラムの世界に一人取り残されたキャプテンサンシャインが、フリーズした「ルナ」に歌を聴かせて終わる。
あまりにアッサリとした幕切れだったから最初は「?」となって気付かなかったけど、帰り道で考えてたら、恐ろしいほどの孤独と絶望に満ちた終わり方だった。
フリーズしたロボットと、自我を持たない幻影に囲まれて、ホロデッキのエネルギーが切れるまでホログラムの世界に1年間閉じ込められる予感のままの結末。
しかもそこから抜け出しても広い宇宙に一人ぼっちという現実。


一回目と二回目ではラストの演出が若干変わってた。
初演では「ルナ」がフリーズしたことに動揺したキャプテンサンシャインが喫茶店(ホログラムの世界)から逃げ出そうと入り口のドアを必死に開けようとしたり、観客(ホログラム)に向かって泣き出しそうな顔で「友達になってくれるか…?」と問いかけたりと、「何とかしてここから逃げ出したいのにどうしようも出来ない」という気持ちが強くて、より絶望的で痛々しい終わり方だった。


それに対して、二回目に見た時には、「ルナ」がフリーズした時に一回目より動揺が少なかったり、店から出ようとする演出がなくなってたり(これは店舗の構造の関係もあるかも)、歌う前に「ルナ」に「音程のズレを指摘しろ」と話しかけたりと、「逃げ出したい」という雰囲気ではなくなっていた。
あと歌い終わった後、観客(ホログラム)に向かって「みんな、一年間、よろしくね」という台詞が追加されていた。
この台詞を言う時のキャプテンサンシャインの表情が、初回のような「あり得ないと分かっててそれでも縋ってしまう」という悲壮感はあまりなくて、本当に「これからよろしくね」といった感じの穏やかなもので、それが少しだけ救いだった。
ホログラムの中で1年間閉じ込められることを諦めて受け入れて、少しでも前向きにいようとする、わずかながらも希望を持ったエンディングになっていた。


二回目を観終わった直後は「前より良い終わり方だな」と思ったけど、ホログラムの中で友人達(仮)に囲まれて過ごした1年間の先には再び孤独の旅が待っているわけだ。
そう思うとどちらの終わり方がいいのか迷う。


でもかなりの良作。2回とも楽しんで観る事ができた。
bricと一緒に観に行きたかったなあ!(まだ言う)


満月がSF好きというキャラ設定で、話の中に有名なSF作品の名前がいくつも出てきた。あまりSF興味ないからほとんど知らなかったけど。知らなくても問題は無いけど、知ってればもっと楽しめるだろうな。
というわけで、初回観てから二回目までの間にツタヤに通って復習兼予習してきました。
いっぱい出すぎて何が出てたか覚えきれなかったのでとりあえず一番よく出てきた「スター・トレック」シリーズを何作か。作中で「面白い」と満月が猛プッシュしてた2009年公開のやつは確かに面白かった。
で、ある程度設定とか世界観とかストーリーを頭に入れた上でもう一回劇見たら初回より楽しめた。あの満月がまくし立てるように映画のあらすじを語る長台詞が聞き取れたwwwすごい簡潔かつ的確に説明できてるよ満月さんwww
二回目に観た時はちゃんとメモ用意して、出てきた作品名片っ端からメモってきました。今は順番にツタヤで借りてるところ。「ギャラクシー★クエスト」がめっちゃ面白かった。SF食わず嫌いしてたけど、結構面白い作品いっぱいあるんだなぁ。いろいろ観てみよう。
ブレードランナー」観たいんだけど置いてない…


気になった点としてはやっぱり角度によってはよく見えないところがあったところかな。
初回は間近だったからそれほどでもなかったけど、2回目に座った席はまえたけさん側が完全に死角になってて、2人とも席に座っている冒頭部分はこずえさんしか見えなかった。
途中で2人が席を立った後、また席に戻る時に自然に2人の席が入れ替わるのはもしかして「最後まで片方しか見えない」という事態を防ぐための工夫なのかな。
まあずっと座りっぱなしってわけでもなくて結構歩き回ってたし、遠くの席の人には話しかけたりおデコ叩いたり(笑)してたから、席が遠くてもそれはそれでおいしい演出だったが。


ラストでキャプテンサンシャインがルナに聴かせる歌がいい曲だったので、二回目の劇の後にまえたけさんに誰の歌なのか聞いてみたら、「はじめ人間ギャートルズ」のエンディング曲ですって。てっきりタケコズの皆さんで作ったのかと思った。
歌詞とか曲調が劇の内容と合ってていい終わり方だったな。
まえたけさんカバー出せばいいのに(笑)


つらつらとまとまりなく書いたが、まあ端的に言うと面白かったってことですわ。
また来年観に行きます。